台湾南部・台南市の黄偉哲市長と宮城県仙台市の郡和子市長は、東日本大震災から10年の節目を迎えるに当たり、互いにメッセージ動画を制作した。台南市と仙台市は「交流促進協定締結都市」で、仙台市は10年前の震災の被災地でもある。双方は動画を通して、この10年間、震災や新型コロナウイルスなど相次ぐ試練を経ながらも、互いに思いやり、助け合ってきたとして、両都市の友好関係がこれからも深まるよう期待を寄せた。
黄偉哲市長は仙台市に寄せた動画の中で、仙台市は台南市にとって初めての日本の友好都市で、2006年に「交流促進協定」を締結したこと、今年は東日本大震災発生から10年の節目であるだけでなく、両都市にとっては「交流促進協定」締結15周年の年でもあること述べた。また、長年両都市は官民いずれにおいても活発に交流しており、特に2011年3月11日に発生した東日本大震災と2016年2月6日に発生した台南地震では互いに助け合い、「患難與共(=苦難を共にする)」という深い友情が生まれたと述べた。
郡和子市長は台南市に寄せた動画の中で、台南市と仙台市は同じく「七夕(たなばた)祭り」の伝統風習を持つという縁がきっかけで相互交流を始めたとし、東日本大震災の際に台南市民から思いやりの気持ちと協力が寄せられたことには大変感謝しており、その気持ちはいまでも仙台市民の心に刻まれていると述べた。郡市長はまた、台南市の黄市長が2020年5月、日本で新型コロナウイルスのまん延が深刻になっていたころ、仙台市に医療物資を寄付してくれたことに言及し、こうした温かい思いやりが、両都市が長年育んできた絆をより固いものにしたと述べた。
台南市は、仙台市との友好関係を記念し、且つ仙台市に感謝の気持ちを伝えるため、台南市塩埕図書館で10日より「携手同心台南與仙台的友情紀録」と題する特別展を開催している。震災後の仙台市の復興に向けた取り組みを紹介するほか、仙台市と台南市の15年間の友好の軌跡を振り返る。